「保護猫をお迎えしてから鳴き声が止まらない」「夜鳴きがひどくて眠れない」といった問題にお悩みの飼い主さんは多いことでしょう。
保護猫、とくに今まで外で生活していた元野良猫の場合、不安から鳴いてしまうことはよくあります。
今回は猫の鳴き声の種類や、保護したばかりの猫が鳴く理由と対処法について、順を追ってご紹介していきましょう。

まずは、猫の鳴き声の一般的な種類や、そのとき猫がどんな気持ちでいるのかについて、ざっくりと確認していきましょう。
「シャー」「バッ」は威嚇
まずは保護猫にありがちな、威嚇や拒絶の鳴き声からご紹介しましょう。
猫が威嚇の際に「シャー」というのは有名ですよね。一説によると、猫の天敵であるヘビの鳴き声を真似してライバル猫を驚かせようとしているのだとか。
シャーよりももっと強い威嚇として「バッ」という鳴き声があり、これは通称「空気砲」とも呼ばれているようです。
破裂音に似た音で、うちの猫のモンちゃんが初日にこれを発した際はとてもびっくりしました。

空気砲は、正直初めて聞いた鳴き声だったもので…!

これ以上近づくと引っ掻くぞっていう、最大級の警告音だにゃ
その後、馴れてくるにつれて「バッ」→「シャー」に威嚇音が変わり、今では空気砲は全くしなくなったので、なんだか少し懐かしいような気もします。
「アオーン」は不安な気持ち
低い声で「アオーン」と鳴くのは、不安な気持ちを感じていたり、何か不満を訴えている可能性が高いです。
外に他の猫がいるのか、はたまた別の部屋に行きたいのにドアが閉まってて困っているのかなど、その状況に応じて、猫が何を訴えているのを推測しましょう。
飼い始めてすぐのころは、夜中にアオーンアオーンと延々鳴き続ける猫さんもいます。これも不安感によるものですが、1週間ほどすれば収まるパターンが多いです。
「(短く)ニャッ」「ニャーン」は甘えている
「ニャッ」という短い鳴き声は仲間への挨拶のような意味を持ち、飼い主に名前を呼んでもらった際のお返事としてだったり、撫でられてご機嫌な時に発せられることが多いです。
「ニャーン」と高めの声で鳴くのは、ひときわ甘えたい気分になっている時。撫でたり遊んだりして、時間の許す限りかまってあげたいものですね。
そもそも、猫は本来はあまり鳴かない生き物です。ニャーと鳴いて要求を伝えたり甘えたりするのは子猫の時のみで、たとえば野良猫は成長した後は自分の居場所を隠すためにも、ほとんど鳴くことはありません。(威嚇でシャーッというのは別)
家で暮らす成猫は、身の回りの世話をしてくれる飼い主さんを親のように思い、いつまでも子猫気分で甘えてくれるのでしょうね。

そういえばモンちゃんも、家に慣れてしばらくしてからニャーニャーお喋りするようになった気がします。

かいぬしがよく話しかけてくるし、こっちもなんとなく鳴くようになったにゃ
先ほど、野良の成猫はあまり鳴かないと書きましたが、保護したばかりの猫については成猫であっても不安から夜鳴きすることがあります。
猫は夜行性(正しくは薄明薄暮性)のため、夜中に活発になります。これまで外で過ごしていた猫であればとくに、夜中の人のいない時間に行動する可能性が高いです。

家で人と暮らすうちに、飼い主の生活リズムにあわせて夜寝るようになる猫さんもいます。

わたしは今でも、夜中にボールで遊ぶのがすきにゃ
また、避妊去勢手術をしていない成猫の場合、オスメスともに、発情期に「ウアーオ」というような大きな鳴き声を出して異性にアピールします。
発情期は場合によっては2~9月ごろまで続くこともあるので、まだ手術をしていないのであれば、早めに近くの動物病院に相談し、避妊去勢手術を受けさせるのをおすすめします。

猫の夜鳴きは、運が悪いと一晩中ずっと続くこともあり、悩んでいる飼い主さんも多いことでしょう。
夜鳴きがうるさいときは、ぜひ以下の対処法を試してみてください。
保護したばかりなど、猫をケージ飼いしている時期であれば、ケージの上から毛布や布をかけて目隠ししてあげましょう。
猫は狭いところや外が見えない場所の方が落ち着ける性質があるので、多少は静かになるかもしれません。
何日にも渡って夜鳴きが続いたり、それにより飼い主もまったく眠れないなどの支障が出ているのであれば、動物病院に相談して抗不安剤を処方してもらうのも一つの手です。
「薬漬けにして大人しくさせるなんて可哀そう」と、お薬に抵抗がある飼い主さんもいるかもしれません。
個人的には、猫さんが物理的に安全な状態にもかかわらず漠然とした不安でずっと鳴き続けているのであれば、そういった不安感を和らげてあげる意味でも、抗不安剤の処方はありかなと思っています。

猫さんも飼い主さんも、お互い無理なく過ごせるのが一番いいですよね。
飼い主側の不眠への対策として、別の部屋で離れて寝るのもいいでしょう。
また、夜鳴きがうるさくてご近所に迷惑がかかっているのでは?と心配な場合は、窓に防音カーテンや防音シートを貼るのがおすすめです。
音は窓から漏れやすいので、窓や隙間をしっかり閉めるだけでも割と効果があるそうですよ。
保護猫、とくに外で生活してきた元野良猫は、不安や外に出たい気持ちから「アオーン」といった夜鳴きをしてしまうことが多々あります。
避妊去勢手術がまだの成猫が「ウアーオ」というような鳴き声を出す場合、発情期の可能性もあるので、早めに近くの動物病院に相談して手術を受けさせるといいでしょう。
保護したばかりの猫が不安から夜鳴きする時は、ケージの上から毛布をかけて目隠ししてあげると落ち着くかもしれません。
何日も夜鳴きが続き、飼い主さんも不眠で消耗しきっているのであれば、動物病院に相談して猫用の抗不安剤を処方してもらうのもありだと思います。
猫も飼い主も、お互いが安心してぐっすり寝られる夜を過ごせますように。